ライターに必要なスキルは文章力?それとも構成力?
先日見つけてしまったこちら。WEBで書いた記事を公開赤ペン先生される!
ライターなら、ドギマギする内容です。読んでみてください!
「旅番組で全くボケない又吉直樹は芸人を放棄してしまったのか」というWEBコラムに能町みね子さんが超絶鬼添削 - Togetter https://t.co/7oW7Vkp1Pb @togetter_jpから
— キンコン西野(オンラインサロン)📪 (@nishinoakihiro) 2018年3月2日
これは、ヒトゴトではございません。いつ何時こんなことになるかと考えたらネットとは恐ろしいものです。批判記事を書く時は肝に銘じておきましょう「人を呪わば穴二つ」ということを。
しかし、これは非常に良いケーススタディー案件だと感じました!
駆け出しのライターさんや、文章に自信がもてない人は、とても参考になります。私も実際にお勉強になりました!この原文を元に、記事を書く時の秘訣を考えていきたいと思います。良かったらお付き合いください!
※私は、編集学校を卒業しています。シナリオライター・舞台脚本・小説のアカデミーにも所属し、構文の基礎を学びました。その経験を活かして、自分なりに考察をしてみます。
この作者の文章は、主観的(自分ひとりのものの見方・感じ方によっているさま)な表現が多いように感じます。また、意味が曖昧な文章が多いです。文章として論理的な組立がなされているのか、考えていきましょう!
まずはタイトルから!
タイトルは「旅番組で全くボケない又吉直樹は芸人を放棄してしまったのか」という記事です。ですから、結論は「又吉さんが芸人を放棄したのか、していないのか」のどちらかになるはずですね。
作者の結論は以下です!
※以下本文ママ
『これが無いなら来なかった』に出ている又吉は芸人じゃない。笑いが1つもないからだ。当番組からは、芸人×芥川賞作家である「又吉先生が言うことは金言」。そんな下駄を履いたマウンティングを感じた。自然の風景、ナチュラルな又吉と一見作りは優しいが、本質はとっても権威的である。
結論は、又吉さんが芸人を放棄したことではなく、番組が権威的(他の者を服従させる威力)であるとの不満で締めくくられています。
少しズレていますね。しかも、結論まであれこれと結構長く語っているのに、最後に「笑いが1つもないからだ」と端的な言及をしています。これだと、散々語ってきたこれまでの文章がいらなくなります。
考察する対象への記述⇒ 考察に至る動機⇒ 具体的な例⇒ 結論
という組立を、あらかじめしていればこうはならないと思います。
構成を考えずに、白い紙に思いのままを書くと、わりとこうなってしまうことが多いです。何かを説明したいときは、数学の証明問題形式でいくと文章が破綻(はたん)しにくいでしょう。
例)●犬は頭がいい→犬の頭がいい具体例→犬は頭がいいという結論
次は、表現が曖昧である案件。
※以下原文ママ
言葉は使い手に依存する。又吉が発する全ての言葉が金言だと信じる読者に向けた番組。しかし、読者でない僕には響かない。
「言葉は使い手に依存する」とは、かなりメタファー(比喩)を効かせています。
抽象的過ぎて、本当の意味は書き手にしか理解できない、暗号のような言葉となっています。
この記事が彼の文学作品ならば、良いのかもしれません。ですが、そうでない限り「曖昧な表現」は読者の混乱を招くことになりかねません。
使い手うんぬんの後の文は、かなり色々がはしょられているのでわかりにくいです。主語と述語を補ってなおかつ、私なりに解釈をして展開するなら、こういうことになります。
「又吉さんの文学作品の読者であれば、又吉さんの言葉をありがたいと思い受け止めるので、この番組は良い番組なのだろう。しかし、彼の作品を読んだことがない自分にとっては、又吉さんの言葉にはなんらありがたみが感じられない。したがってこの番組は自分の心には響かない」
主観的な文ですね。
「又吉さんの作品の読者であれば、彼の言葉を金言(神・仏が発するありがたい言葉)だと感じるから、その人たちにとって、この番組はおもしろいはず」と言っているのです。これはまさに作者の空想の域です。ソースどこですか。
なお、又吉さんの発言に対して問題提起をしているのにもかかわらず、結論は番組の内容について言及している。全体的な破綻もさることながら、短いセンテンス内でも破綻を起こしています。
ここまで細部にわたり展開をし、説明しなければ、本意が理解できない文章は読んでいるうちに混乱を起こします。
しかも、論ずるべきは「又吉さんが芸人を放棄したか、否か」であるのに、やはり行き着く先は終始「番組の批判」となってしまっています。
この作者は、ミスリード(記事の見出しと記事の内容が全く異なる事)を犯しているんです。
ならば、彼はどうしたら良いのか!
それは、この文章のタイトルを「又吉さんが出てる旅番組を僕は面白いと思えなかったんですが、これはどうしてでしょうか?」にしたら良かったのです。
そしたら辻褄が合いますよ!
以下は、私が考えた新しいタイトルと、作者の原文をつなげてみました。
「又吉さんが出てる旅番組を僕は面白いと思えなかったんですが、これはどうしてでしょうか?」⇒笑いが1つもないからだ。当番組からは、芸人×芥川賞作家である「又吉先生が言うことは金言」。そんな下駄を履いたマウンティングを感じた。自然の風景、ナチュラルな又吉と一見作りは優しいが、本質はとっても権威的である。
「又吉さんが出てる旅番組を僕は面白いと思えなかったんですが、これはどうしてでしょうか?」⇒言葉は使い手に依存する。又吉が発する全ての言葉が金言だと信じる読者に向けた番組。しかし、読者でない僕には響かない。
彼は、金言というワードが好きみたいですよ!
では結論です!
ライターに必要なスキルは文章力?それとも構成力?
答えは、構成力です!
文章力というのはやはり曖昧です。(語彙力については明確ですが!今回は言及しません)測るモノサシがありません。
ですが、問題が証明されているか、破綻していないかという観点だととりあえずは論議のしようがあります。文章が成立していれば、最低限はOKなのですから。
この作者においては、書き上げた時に読み直して再構成しなかったことが、一番の問題でした。本文の誤字も多いので、この記事には編集が入らないシステムだと推測されます。ならば、尚の事しっかりと責任をもって読み直さないといけなかったですね。
文章を書く時の秘訣
- 溢れ出るパッションは置いておくこと
- 伝えたいことをまず書き出す
- 伝えるために必要な情報を箇条書きにする
- 基本形※を使い全体の構成を行う
- 自分の考えは論理的に
- 論理的にできなければ自分の考えは言わないほうがいい
- 論点がブレてないか途中で何度も確認する
- 書き終わったらとりあえず1日寝かす
- 最後までパッションは出してこないこと
※1.リード文→2.見出し→3.本文→4.まとめ
ライターは小説家ではありませんので、極端な比喩表現や感情的な表現はなるべくしないようにしなければいけません。といっても、小説家も恐ろしく綿密な計画書である「プロット」を作りこんでからしか物語は書きませんし、意味のある比喩しか用いません。
家を作るときに設計図を作るように、文章にも設計図が必要なんですね。ライティングには文系要素と理系要素が必要なようです。少なくとも世に出すものに関しては、ですが。
ブログとか日記なら、情熱のままに書きなぐってOKです^^
それが一番楽しいですものね!ぱっしょン^^!
以上、ライターに必要なスキルは文章力?それとも構成力?についてでした。